ご挨拶

 
 

 昨年(2008年)は、わが国の消費者政策、消費者法の発展にとって、画期的な年となりました。


 第1に、日本の政治は消費者庁の設置に向けて大きく舵を切りました。2008年9月の臨時国会に提出された消費者庁関連法案は、政局の不安定や経済危機の影響を受けて、審議されないままでしたが、本年3月にようやく衆議院で審議入りすることとなりました。

 第2に、「消費者市民社会」という理念が打ち出されました。平成20年版国民生活白書は、「消費者市民社会への展望−ゆとりと成熟した社会構築に向けて−」と題されており、「経済主体としての消費者・生活者」のみならず、消費者の社会的価値行動に着目した「社会変革の主体としての消費者・生活者」を分析しています。これは、従来の消費者像の見直しを迫るもので、現在進行中の民法債権法改正の前提とする人間像をどのようなものとするかとも関係してきます。

 第3に、約1年半の準備期間を経て、11月30日に日本消費者法学会が設立されました。設立総会には、韓国消費者法学会からの来賓も加えて、約200名の大学研究者、法律実務家、消費者行政関係者、消費者相談専門家、消費者団体関係者、企業関係者が集まりました。


 日本消費者法学会は、関係者間の連携と協力の場として、消費者政策と消費者法の研究及びその実務への還元に努めるとともに、大立法時代における消費者法のあり方の検討、法科大学院における消費者法のコアカリキュラムの策定、国際消費者法学会や国内外の関係学会との連携などの課題に応えていく所存です。消費者問題に関心のあるみなさまのご支援・ご協力をお願い申し上げます。

 

                                  2009年3月

 

ご挨拶

               日本消費者法学会理事長 

松本恒雄(一橋大学教授)